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カルボキシエステラーゼが関与する相互作用とは?

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カルボキシエステラーゼ(CES)は、主にエステル基を持つ薬剤を加水分解する代謝酵素である。バルプロ酸ナトリウムやシンバスタチンなどのCES阻害薬は、クロピドグレル硫酸塩などのCES基質の不活性化を阻害して薬効を増強させたり、オセルタミビルリン酸塩などプロドラッグの活性化を阻害して薬効を減弱させたりする恐れがある。[日経DI2015.12,PE029]

今まであまり意識したことがありませんでしたが、 CESの親和性が強いシンバスタチンやACE阻害薬、CES選択的阻害薬であるバルプロ酸ナトリウムには特に注意が必要です。

 

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カルボキシエステラーゼ(CES)は、細胞内のミクロソーム内に存在し、エステル結合を有する薬剤をカルボン酸(R1-COOH)とアルコール(R2-OH)に加水分解する代謝酵素である。[日経DI2015.12,PE029]

エステル結合(R-COO-R’)の他にアミド結合(-NHCO-)やチオエステル結合(R-CO-S-R')も加水分解するために多くの医薬品やプロドラッグの代謝・活性に関与しています。

CESにはCES1-5のファミリーが存在し、様々な臓器に発現している。ヒトの肝臓ではCES1(CES1A1)が高度に、CES2(CES2A1)は中程度に、また小腸ではCES2(CES2A1)のみ強く発現している。[日経DI2015.12,PE029]

 

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CESの遺伝子多型の影響を受ける薬剤(クロピドグレル、メチルフェニデート、イミダプリル、オセルタミビル、イリノテカン、ダビガトランエテキシラート)は、CESの阻害や誘導を受けやすいと考えられる。[日経DI2015.12,PE031]

CES1に対する親和性はシンバスタチン>ACE阻害薬>クロピドグレル>オセルタミビルの順で強い。バルプロ酸ナトリウムは選択的CES1阻害薬のためCES1で代謝される薬剤の代謝が抑制され血中濃度が上昇する可能性があります。

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プロドラッグとしては、プロドラッグ型のACE阻害薬、オセルタミビル、シンバスタチン(リポバス他)、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト他)などがCES1の基質である。[日経DI2015.12,PE030]

 CES基質薬同士の併用やCES阻害薬により、プロドラッグの活性が阻害され、薬効が減弱する恐れがあります。