薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【4コマメモ】「口の乾き」「のどの渇き」のメカニズムを理解して服薬支援をするための行動

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「口がカラカラ」は「乾き」であり、のどがカラカラで水が飲みたいのというのが「渇き」といえる。……この両者は独立しているわけではないが、分けて考えることで理解がしやすくなるー日経DI2013.11 PE007

「口の乾き」は水の生成抑制で起きる

「口の渇き」は唾液の分泌量が低下することで起きる。唾液の大部分を占める水は、唾液腺の膜細胞にあるM3ムスカリン受容体の刺激によって生成される。抗コリン薬はムスカリン受容体の刺激が封印されるため、「口の乾き」は避けられない。

また緊張して交感神経が優位になると水分の産生が減少し、口がネバネバになる。また副交感神経が抑制されるため唾液の分泌量が低下する。

ループ利尿薬やNSAIDsはナトリウム-カリウム-塩素共輸送系を抑制、カルシウム拮抗薬やテオフィリンなどのキサンチン誘導体などはカルシウムイオンの遊離を抑制することで水の生成を抑制する。

「のどの渇き」は水不足で起きる

視床下部や脳室周囲器官に存在する「口渇中枢」が活性化することで、「のどの渇き」が起こる。「水を飲みたい」という欲求が大脳辺縁系で発生する。

またバソプレシンの不足により中枢性尿崩症が起こることがある。降圧薬や利尿薬は血圧を下げることで、末梢血流量の低下により水分不足になる。アルコールの飲みすぎやコーヒーなどに含まれるカフェインは利尿作用による脱水のため、血漿浸透圧が上昇するため、のどの渇きが起こる。

日常の業務でどのように行動するべきか?

「口の乾き」「のどの渇き」の原因となる薬剤は多数ある。日常業務では以下の3点に注意する

1.「口の乾き」を訴える患者がいたら、まずは抗コリン作用をもつ薬剤を服用していないかどうかを確認する。

2.脱水を起こしやすい薬剤を複数服用している場合は、水分補給の必要性をアドバイスする。

3.「口の乾き」「のどの渇き」によるQOLが低下していないか確認する。