薬剤師ドリブン

薬局薬剤師の稿本とたまに役に立つ資料

【稿本】向精神薬などの減量において薬剤師が知っておくこと。

抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗不安・睡眠薬抗うつ薬の急激な減量・中止はしないことが原則。減量に際して、薬剤師が知っておくべき病状評価尺度、減量方法と離脱症状の対処方法は以下のとおり。

抗精神病薬の減量

代表的な身体離脱症状は、遅発性ジスキネジアがある。脳のドパミン受容体の数と感度の増加によるものと考えられる。中断するときは段階的な減量・中止を推奨。薬に対する構えの評価尺度(DAI-10)や病識評価といった精神症状評価尺度で評価を行いながら減量速度を提案する。

パーキンソン病薬の減量

コリン作動性リバウンド症候群(離脱症状)を生じるため、減薬は徐々に行う。離脱症状としては不安、不眠、頭痛、嘔吐、めまい、インフルエンザ様症状などがある。また急激な減量により精神症状の悪化や悪性症候群を生じることがあるため、急激な中止をしないように提案する。減量の際にはDAI-10、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)に着目しながら処方提案する。

抗不安薬睡眠薬の減量

減量方法には漸減法、隔日法、置換法などがある。漸減療法は半減期が短い薬剤に用いられる。。服用量を1-2週間ごとに1/4量ずつ減量・中止する。隔日法は半減期の長い薬剤に用いられる。服用する期間を1日おき・2日おき・3日おきと少しずつ長くして中止する。置換法は半減期の短い薬剤を漸減法で減量できないときに使用。半減期の長い薬を併用して置き換え、隔日法で減量・中止する。アシュトンマニュアルではジアゼパム1日40mgあるいは等価量を1日20mgにするまで1-2週間ごとに2mgずつ1日用量を減らしていくことが可能。漸減期間は30-60週必要。20%に離脱症状が生じる。特に半年以上の長期服用時には40%前後まで増加する。不安の評価は自己評価式不安尺度(SAS)、不眠の評価にはアテネ不眠尺度(AIS)を用いる。

うつ病薬の減量

減量・中止は緩徐に行う。中止後の離脱症状に注意する。離脱症状は感情の高ぶりやイライラ感などがある。RCTでは3-8日の断薬期間でも退薬症候群が起こることがる。パセロキセチンでの発現頻度が高い。抗うつ薬半減期離脱症状の特徴に注意して減量を提案する。うつ症状の評価には、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM--D)やうつ性自己評価尺度(SDS)を用いる。

気分安定薬の減量

リチウムの減薬・減量についての具体的な方法に関する報告はないが、緩徐に減量する。抗てんかん薬は漸減中止が原則であり、けいれん発作や半跳発作を引き起こすので急激な中止は避ける。

精神症状評価尺度

①DAI-10:薬物投与後に患者がどのようにとらえたか?
②SAI-J:病識を実証的に測定。現在、欧米で最も広く用いられている
③DIEPSS:錐体外路症状を評価
SAS:不安障害の症状を量的に測定
⑤AIS:不眠の自己評価尺度
⑥HAM-D:うつ病の重症度を評価
⑦SDS:うつ性を評価する自己評価尺度

日本薬剤師会雑誌 第71巻 第12号