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【稿本】認知症の予防・治療薬の開発に期待できる天然の低分子化合物とは?

認知症の予防・治療の基本として、神経死の防止と神経の再生。そのために期待できるのが内因性神経栄養因子の活性化。

徳島文理大学薬学部薬品物理化学教室(福山愛保教授担当)では、ラット胎児初代培養大脳皮質由来神経細胞系を用いて多くの天然物の神経栄養因子様活性のスクリーニングを行い、40種以上の有効な化合物を見出しています。その中で、magnolol、 honokiol、BANGLEについて、invivoで検討できるだけのサンプル量を確保できましたので、薬理学教室でマウスを用いた検討を行いました。その結果、老化促進マウスSAMP1において、2ヶ月齢マウスにmagnolol 5,10mg/kgを2週間経口投与すると、6ヶ月齢マウスの海馬CA1領域の神経線維の脱落を有意に抑制することが明らかになりました。また、SAMP8に同様に投与すると、学習・記憶能力の低下を抑制するだけでなく、コリン作動性神経系の脱落を有意に抑制しました。BANGLEについては、嗅球摘出マウスに投与すると、新生神経細胞の数を増加させました。県薬だより第86号

mangnololやhonokiolの投与は、Aktのリン酸化を増大させる作用が、学習・記憶能力の低下の防止に寄与していると考えられる。活性化したAktは、神経細胞アポトーシスを抑制する。

まとめ

内因性神経栄養因子を活性化させることで、神経死を防止し、神経の再生を促進させるために認知症の予防・治療に期待できる。天然の神経栄養因子様活性作用のあるmagnolol、honokiolはAktのリン酸化の増大による神経細胞死の抑制、BANGLEは神経細胞新生の増加により学習・記憶能力の低下に期待できる。