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【稿本】漢方のトリセツ 風邪

冬は気温の低下と同時に湿気が少なくなるので呼吸器にとっては受難の季節。漢方の考えでは秋から冬にかけては「肺を傷つける」病気が一番増える。治療の方針は「潤す・温める・冷やす」を上手く使い分ける。

麦門冬湯
肺の乾燥によって引き起こされる咳は、乾燥により熱を帯びると考えられている。肺は常に水分(陰液)によって冷やされているが、肺機能が低下すると乾燥して水分が少なくなり気の陽気が勝って熱を帯びる(肺陰虚)。いわばラジエターの水がなくなりオーバーヒートを起こしているようなもの。この場合は冷やして潤す麦門冬が役に立つ。また消化機能(脾胃)を潤し、身体の乾燥を防ぐ作用がある。

柴朴湯・清肺湯
肺が冷えているときは水の循環が悪くなり、肺に水がたまることにより鼻水や薄い痰がたくさん出て、湿った咳がでる。一旦は参蘇飲などで肺を温めるが、この時期をすぎると逆に水分がなくなり熱を帯びて咳がでる。喘息はこの病態。柴朴湯は小柴胡湯と半夏厚朴湯の合方で気を下げて咳を止める。さらに上半身の熱をとり炎症を抑える。また気分のふさがりや不安を改善する。清肺湯は麦門冬と似ているが、さらに体力がなくなり、脾胃の働きが悪くなり長引く咳に使う。肺を冷やして潤いを与え、消化機能を改善する。

まとめ
肺の水分がなくなることで熱を帯び、気の突き上げによって咳が出る。「潤す・温める・冷やす」を上手く使い分ける。

【参考資料】県薬だより第86号 p32−33