薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【稿本】フルオロキノロン系抗菌薬の大動脈瘤・大動脈解離に対する注意点とは?

1.フルオロキノロン系抗菌薬と大動脈瘤・大動脈解離について
フルオロキノロン系抗菌薬の内服開始から60日以内は、大動脈瘤・大動脈解離を発症するリスクが2−3倍程度上昇する。発症率は年間1000人あたり1.2件と見積もられた。投与直後10日間に発症したケースが最も多かった。

2.なぜ大動脈瘤・大動脈解離がおこるのか?
大動脈壁はⅠ型・Ⅲ型コラーゲンによって構成されている。フルオロキノロン系抗菌薬はコラーゲン分解が亢進した結果として大動脈障害が生じると考えられる。

3.どのようなことを注意すればよいか?
フルオロキノロン系抗菌薬の副作用として大動脈瘤・大動脈解離の発生頻度は非常に低いが、大血管障害の既往や未破裂の大動脈瘤の病歴を確認する。自覚症状として、腹部や胸部、背部に痛みを生じた場合は直ちに医療機関を受診するように、患者に指導する。

[参考文献]
日本薬剤師雑誌 第72巻 第4号 令和2年4月1日