QT延長は心室が収縮している活動電位維持時間(action potential duration:APD)が延長している状態である。QT間隔が延長すると重症心室性不整脈を発症し、突然死に至る恐れがある。危険因子として、女性、高齢者(65歳以上)、電解質異常、心疾患、先天性QT延長作用のある薬剤の併用や相互作用が関わる。QT間隔が薬剤投与後に25%以上延長するか、0.5秒以上となる場合に、異常なQT延長があると診断される。
心室筋の収縮から拡張までの活動電位は、Na+、K+、Ca2+などの電解質がイオンチャネルを介して心筋細胞を出入りすることにより制御、維持されている。QT延長は、K+による外向き電流の遮断やNa+やCa2+による内向き電流の活性化が関わる。
QT間隔に最も影響を与えるのはKチャネルである。KチャネルはhERGというタンパク質で構成されており、薬剤性QT延長はhERGチャネル阻害に起因される。
●日経DI2016.06