薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【図解】薬剤効果の概念的側面と事実的側面

薬剤効果の概念的側面とは?

薬理学などの理論によって説明される概念的な薬剤効果のことです。
たとえばDPP-4阻害薬は、インクレチンの分解阻止によりインスリン濃度を上昇させ血糖値を下げるとされています。しかしこの薬理学理論が血糖値を下げるわけではなく、血糖値を下げるという現象を説明するもので、いわば仮説なのです。

薬剤効果の事実的側面とは?

実際に観察された薬剤効果のこと。薬理学的理論とは別に実際におきた現象のことで、理論的に説明ができなくても実際におこった現象は疑いようのないものです。要するに理屈ではなく事実ということですね。

概念的側面と事実的側面をどう活用するか?

薬理学理論、例えば受容体やトランスポーターなどは概念的なもので実在は観察できません。薬理学理論は薬剤効果を説明しているに過ぎず、本当に大事なのは最終的に健康寿命がどれだけ伸びるか、QOLが向上するかなど実際の生活に即した観点から薬剤効果を考えていくことです。かといって理論が不要なのではありません。副作用や相互作用のチェックには薬学的理論が不可欠です。

製品パンフレットを何となく読んでいると、作用機序のような概念的側面に目がいきがちです。しかし実際に有用なのは事実的側面です。概念的側面と事実的側面をバランスよく意識しながら製品パンフレットを読んだり、研修会を受講しようと思いました。