薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【稿本】小児の処方箋5つの「困った」

①薬を嫌がる子に飲ませるコツが分からない

生後6ヶ月までは薬を飲ませるのに苦労しないが、1歳が服薬を嫌がる子どもが最も多い時期。味覚が発達し、自我が芽生えるため。

新生児-1歳前後
薬を小さじ1/2杯(2.5CC)くらいの水で溶かし、スポイトで0.5mlずつ口に入れては、口から出して10秒待つという動作を繰り返す。少量ずつ飲ませると子どもは薬を吐き出せない。

お薬団子を作るのは意外と難しい。「1滴ずつ」水を垂らしてしっとりとした泥団子のようにする。

睡眠や食事な乳児では特別の指示がないかぎり、服用間隔が均等でなくてもよい

1歳前後-3歳
食品に混ぜて服用しても良い。ただしマクロライド系の構成物質やタミフルは苦味が強くなることがあるので注意する。

3歳半-4歳以上
服薬の必要性を理解させ、自ら水で服用してもらうための指導が必要。ある程度の年齢になったら食品との混合を卒業して「おとな飲み」をしてもらうように指導。

②保護者とのコミュニケーションに自信がない

親の不安が強い1人目の子どもには特に気を遣う。「次にやること」を確実に伝える。父親や祖父母の場合は口頭の説明だけでなく、重要なことをお薬手帳に書く。発達障害児に薬を飲ませていることに苦労している保護者が多い。具体的な飲ませ方の提案を行う。

③保護者からの質問に適切に答えられない

薬の使い方については、保護者が使用時に確認できるように、お薬手帳に起債したり、患者向けの資料を渡すことも有用。よくある質問はまとめて、薬局内で共有する。

④用量計算があっているか不安・・・

小児薬用量早見表を作成して壁に貼っておくと安心。秤量ミスを防ぐために空包を含む総重量を記録し、鑑査する。鑑査システムは万能ではない。鑑査システム化と同時に、ヒトの目によるチェックもルーチン化する。

⑤医師の処方意図が分からない

小児の用量はあくまで目安であり、個々の患児に応じて処方量が適正量かを判断する。医師に疑義照会するときは「なぜ出してはいけないか」を尋ねられたときに根拠のある返答ができるようにしておく。添付文書に小児用量が記載されていない薬剤は小児用量計算式(Augsberger Ⅰ・Ⅱなど)を用いる。医師がどの計算式で計算しているか把握しておくのもよい。処方用量に幅がある場合は、最大用量と最少用量をAugsberger Ⅰ・Ⅱ式に当てはめて算出し、児の処方量がその数値の間に入っていれば問題ないとする。

●参考資料
日経ドラッグインフォメーション』2016年6月号、pp.PE001-PE012