薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【稿本】慈陰至宝湯とは?

虚弱な人の慢性の咳や痰を伴う呼吸器疾患に使われる。
肝鬱血虚脾虚、肺陰虚」証を治療する処方。

「肝」は五臓の1つで、内蔵機能と精神情緒を安定させる。「肝鬱」は肝の気が滞っている状態。

「血」は全身を滋養する作用。「血虚」は血の滋養作用が弱く、顔色が良くない、皮膚にツヤがない状態。

「脾」は五臓の1つで、消化・吸収、気・血・津液・精の生成源を作り出す。不足すると消化吸収・代謝が低下する。

「肺」は呼吸・鼻・皮膚・粘膜が含まれる。「肺陰虚」は肺の栄養が足りない状態。

配合生薬の働き

柴胡→自律神経の調整。肝気の鬱血を解く
当帰・白芍→血を補って体を強くする。(補血養血)
白朮→胃腸の働きを高め、気を補い、湿った痰をを除去
茯苓→胃腸の働きを助け、むくみを解消する
薄荷→自律神経の調整。肝気の鬱血を解く
甘草→胃腸の機能を整えて気を補う。諸薬の薬性を調整
知母→熱邪をさます
地骨皮→熱が体にこもるのを冷やし、血・体液の消耗を防ぐ
麦門冬→体液を増やして乾燥を潤す。粘っこい痰を潤して出しやすくする
貝母→肺を潤して、痰をだし、咳を鎮める
香附子→自律神経を調整し、血の流れを調え痛みを止める
陳皮→気の流れを調え、胃腸の働きを立て直し、痰の多い咳を鎮める

日経ドラッグインフォメーション2019.12