薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【稿本】余命が短い高齢がん患者の減薬を考える

高齢者のポリファーマシー解消のアプローチは色々ある。

例えば
①「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」などにある薬について検討する方法
②患者の症状から不要な薬や副作用が気になる薬を検討する方法
③いったんリセットしてゼロベースで検討する方法

ーなどがある。

まずは、飲めていない薬に着目して、服用できていないのに状態が安定していれば、いったん中止も検討。

次に有害事象を起こす可能性が高い薬(潜在的な不適切処方:PIMs)について検討。今、問題を起こしている薬に関しての方が、医師に提案しやすい。例えば転倒リスクを高める薬(FRIDs)と呼ばれるものには注意する。代表的なものとして睡眠薬抗不安薬抗精神病薬、降圧薬、抗ヒスタミン薬などがある。フロセミドによる低カリウム血症、糖尿病治療薬による低血糖にも注意する。

対症療法と予防的投与についても考える。対症療法は症状の有無で必要性を考える。予防薬はTTB(time to benefit)という概念で考える。余命が短い患者にTTBが5年以上の薬を服用するメリットは小さい。

今まで服用していた薬を一挙にやめると、患者は医師が諦めたと思うことがある。エビデンスにのっとって1剤ずつ必要性を検討することは大切だが、必要性だけで整理をすることが良いとは限らない。患者の気持ちや薬に対する思い入れなど、総合的に判断する必要がある。

●参考資料:日経DI2019.08

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