治療法が確立されていない遅発性アカシジアの予防と早期発見のためには精神症状と運動亢進をよく確認する。特に抗精神病薬同士の併用や、SSRIとの併用している場合には注意する。
薬剤性錐体外路症状のアカシジアは「じっとしていられずに動き回る」という症状が表れる。薬剤性アカシジアは、原因薬剤の投与開始や増量後6週間以内に発症する急性アカシジアと、投与後3ヶ月以上経ってから発症する遅発性アカシジアがある。
最も発症頻度が高い急性アカシジアは原因薬剤投与開始3日から2週間以内に発症することが多い。遅発性アカシジアは治療法が確立されていないので、予防と早期発見が重要。
精神症状(主観的症状)として「手足や体を絶えず動かしたいという衝動感」「足のムズムズ感」「体や足のソワソワ感」がある。
運動亢進(客観的症状)として「体を揺らす」「ずっと歩き回る」「足踏みする」など、同じ動作を繰り返す。診断・治療が遅れると自殺企図に至る恐れがある。
急性アカシジアの発症機序はドパミン(D2)遮断作用が関与すると考えられているが、解明されていない。
遅発性アカシジアの発症機序は抗精神病薬の長期投与によるD2受容体の感受性の亢進すると推測されている。
アカシジアの発症頻度は、抗精神病薬の用量に依存して上昇。定型抗精神病薬(FGA)、非定型抗精神病薬(SGA)の他、D2遮断作用(制吐薬など)やD2受容体の情報伝達を阻害する薬剤(バルプロ酸Na)、コリン作動薬(ドネペジル)、SSRIなど錐体外路症状を発症する多くの薬でアカシジアの発現が報告されている。FGA同士、SGA同士の併用はアカシジアの有病率が単剤と比較して上昇するので、特に要注意。
●日経DI2019.08