薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【稿本】日経DI2019.07

交付後のフォローアップはどうしたらいい?

タイミング・手段は患者により異なるが事前に了解を得ることが肝要。「副作用リスクが高い」「薬がうまく飲めていない」「相談された」など気になる患者に行う。電話・SMS・SNS・訪問など手段は患者によって使い分ける。経過によって電話・来局時と使い分ける。フォローアップで得られた情報はトレーシングレポートで医師にフィードバックし次の診察に活かす。押し付けにならないように事前に了解を得てからフォローを行う。処方されてから3-6日後(薬物動態で判断するのもあり)に実施。1人あたり月に3-4件、平均5分ほどなら負担は少ない。新しい業務を追加するために、業務の効率化も並行する。

オルケディア錠とは?

維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬。維持透析下ではリンの排泄低下、ビタミンD活性化障害に伴う血中Ca濃度の低下のため副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰分泌してしまう。上部消化管障害の発現頻度の低下を期待して開発。Ca受容体に作動し、PTH分泌を抑制する。このPTH分泌抑制作用により血中Ca濃度低下作用を有するので用量調整する必要あり。1回1-2mgで開始し、増量は2週間ごとに1mg。肝消失型でt1/2は19.77時間。バイオアベイラビリティは62.7%。副作用は低Ca血症(QT延長、しびれ、筋けいれん、気分不良、不整脈、血圧低下)、悪心・嘔吐、腹部不快感など。Ca濃度を低下させるBP製剤などは併用注意。

苓姜朮甘湯とは?

茯苓、乾姜、白朮、甘草を配する処方で、腰の冷痛などに広く用いられる。固定性の激しい痛みや痙攣、薄い分泌物や排泄物(薄い鼻水、薄い痰、下痢、頻尿、尿量過多、帯下を伴うことが多い。臍から下の下焦に寒湿邪が停滞している状態なので、腰が重くなり、冷痛を生じる。寒い環境や冷房の効きすぎた環境で起きやすい。乾姜は冷えを改善、茯苓は水湿を除去し脾胃を補う。白朮は脾胃を高め、気を補う。甘草は脾胃を整え気を補い、諸薬の薬性を調和する。

妊娠中の風疹ワクチンは危険?

風疹ワクチンは生ワクチンなので妊婦は「接種不適当者」となる。ワクチン接種後、約2ヶ月は妊娠しないようにという記載がある。妊娠初期での風疹ワクチン接種を受けたことによる先天性風疹症候群(CRS)は認められていない。理論上のリスクは否定できないが、妊娠を中断する理由にはならない。

尿路結石患者の降圧剤がサイアザイド系利尿薬に変更になった理由とは?

サイアザイド系利尿薬はカルシウムの排泄を減少させるため。
結石は二度と経験したくないと思うほど激烈な痛みがある。
以下の4つに大別

①カルシウム結石
②尿酸結石
③感染結石
④シスチン結石

最も頻度が多いのは①カルシウム結石で5年再発率は約45%と高い。塩分制限とカルシウム摂取が重要。カルシウムを摂取した場合はシュウ酸の消化管吸収を抑制するので600-800mg/日の摂取が推奨されている。サイアザイド系利尿薬は遠位尿細管でのNa+の再吸収抑制と同時にカルシウムの再吸収を高め、カルシウム排泄を減少させる。

「よく効く頭痛薬が欲しい」と言われたら

薬物乱用頭痛に注意する。単一成分では3ヶ月以上にわたり15日/月以上、複合成分では10日/月以上の服用で薬物乱用頭痛と診断される。10日/月以上でOTC薬を服用している患者や漫然と使用している患者は、医師の指示のもと予防薬の投与を考える必要がある。服用を中止したら1-6ヶ月間で70%程度の症例で改善する。

パーキンソン病治療薬が増量された患者、何に着目する?

治療効果と副作用の確認、症状に影響を及ぼす併用薬の確認と管理に着目。ここが薬剤師に期待される役割。

まずは治療経過を押さえる。重症度の判断基準にはHoehn&Yahr(ホーン・ヤール)の重症度分類と、厚生労働省の生活機能障害度を用いる。

次に治療内容を評価し、継続的に見ていく。便秘の副作用のあるCa拮抗薬や、薬剤性パーキンソニズムを起こしうる併用薬を予め挙げておく。パーキンソン病では過活動膀胱を中心とする排尿障害が多い。抗コリンの副作用に留意する。進行する症状への薬物療法の状況と、生じうる副作用など、薬剤師が主体的に把握して患者・家族への情報提供や医師との対応策を検討に貢献する。

肌の弱い人にお薦めの日焼け止めは?

「紫外線吸収剤」不使用と表示されているものがお薦め。「紫外線吸収剤」は紫外線が皮ふに届くのを防ぐ。「紫外線散乱剤」は紫外線を分散させる。

●参考資料
日経DI2019.07