薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【気になる医学論文】コロナウイルス感染症に対する漢方薬と西洋薬の併用は有効か?

COVID-19に対する漢方薬CHM)と従来の西洋薬(CWM)の併用はCWM単独より効果的かもしれない。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

COVID-19に対する漢方薬CHM)と従来の西洋薬(CWM)の併用とCWM単独を比較して、有効性と安全性を評価するために50のランダム化比較試験(RCT)を分析。CHM+CWMは、CWMよりも臨床的有効率、胸部画像の改善、臨床的悪化の抑制、死亡率の低下、TCM症候群の総スコアの低下で優れていた。ただしエビデンスの確実性は中程度から非常に低いため、より高品質なRCTが必要だ。

Abstract

目的

本研究は、COVID-19に対する漢方薬CHM)と従来の西洋薬(CWM)の有効性と安全性をCWMと比較して評価することを目的とした。

方法

2020年1月1日から2023年5月18日までの8つの電子データベースと3つの試験登録を検索した。CHM+CWMおよびCWMとCOVID-19の有効性と安全性を比較したランダム化比較試験(RCT)を本研究に組み入れた。Cochrane Risk of Biasツール2.0(RoB2)を適用して、組み入れられたRCTの方法論的質を評価した。エビデンスの確実性の評価には、GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluation)システムを採用した。統計解析はRバージョン4.1.2で実施した。

結果

本研究では、11,624人の患者を含む50のRCTを対象とした。単独CWMと比較して、COVID-19に対するCHM+CWMは、臨床的有効率を有意に高め(RR=1.18、95%CI[1.13、1.22])、胸部画像を改善し(RR=1.19、95%CI[1.11、1.28])、臨床的悪化を抑制した(RR=0.45、95%CI[0.33、0.60])。28])、臨床的悪化の抑制(RR=0.45、95%CI[0.33、0.60])、死亡率の低下(RR=0.53、95%CI[0.40、0.70])、TCM症候群の総スコアの低下(SMD=-1.24、95%CI[-1.82、-0.66])であった。SARS-CoV-2核酸変換時間(MD=-2.66、95%CI[-3.88、-1.44])、入院期間(MD=-2.36、95%CI[-3.89、-0.82])、臨床症状(発熱、咳、倦怠感、息切れ)の回復時間は、CHM+CWM群の方がCWM群よりも短かった。さらに、CHM+CWM療法は、いくつかの臨床検査指標が正常値に戻ることをより促進した。全副反応の発生率には、両群間で統計的な差は認められなかった(RR = 0.97, 95% CI [0.88, 1.07])。246の結果についてバイアスのリスクを評価し、55を「低リスク」、151を「若干の懸念」、40を「高リスク」に分類した。全体として、エビデンスの確実性は中程度から非常に低いものであった。

結論

本研究で挙げたCHMは、CWMとの併用療法として、COVID-19に対する有効かつ安全な治療法である可能性がある。しかし、より正確な結論を出すためには、より質の高いRCTが必要である。