薬剤師ドリブン

ただ怠惰に生きたい四国在住の薬剤師が、どうしても放っておけない日々の疑問や課題を探求する様子を描いたブログです。

【稿本】「薬を減らしたい」と訴える高齢患者の処方を考える

なぜ薬を減らしたいと思っているのか、患者の背景を十分考え、家族図を書いて家族構成を把握する。小柄な高齢者は標準化eGFR(mL/分/1.73m2)に惑わされず、個別eGFR(mL/分)を重視。

「薬を減らしたい」の背景を考える

服用回数が多い、金銭面での負担など患者背景を考える。「薬を減らしたい」というのは表現方法の1つで本当は減らしたくない場合もあるので注意する。家族とのトラブルを避けるためキーパーソンを把握しておく。

HbA1cや腎機能など検査値を確認

高齢者は低血糖の影響が大きいので、薬の効きすぎには十分注意する。腎機能の評価は筋肉量の少ない痩せた高齢者では過大評価される。体表面積未補正の推算糸球体濾過量(個別eGFR、mL/分)を推算する。

脳梗塞の既往は症候性かどうか確認

脳梗塞は、症候性か無症候性かによって、抗血小板薬の必要性が変わる。無症候性なら抗血小板薬の必要性は低い。無症候性脳梗塞に対する抗血小板薬の一次予防の有効性は十分確立されていない。症候性の脳梗塞なら抗血小板薬は原則必要。PPIの必要性は消化管疾患の既往を確認する。出血性胃潰瘍の既往歴やピロリ菌の保有は潰瘍リスクは高いのでPPI併用はあり。PPIの胃酸分泌抑制による鉄吸収不良の可能性も考慮する。

日経ドラッグインフォメーション2019.12